元国会議員の自殺未遂
大地一人
元国会議員の有名な方が自殺未遂をなされたそうです。偽メール事件のあの方です。
この方がなぜそういうことをなされたか?・・・詳細について私は存じ上げません。
ですが世の中を見てみますと、「かっこいい人」「立派な人」が案外簡単に自らに命を絶っておられます。作家の芥川、三島、太宰、川端は有名ですが、その他芸能界でも、田宮二郎さんなど、数知れません。国会議員では新井将敬さんでしょうか。
それぞれに、愚かな私などが知ることのできないご事情があるのでしょうし、馬鹿な私ごときが原因を論考するなどというおこがましいことをしていいのか大変迷うのですが、ただ、こういう方々の特徴は、『何もしない裸の快楽を知らなかったのではないか』という気もいたします。海水浴に行き、水着一枚になると、どんなに太った方も水に浮くものでございます。何もせず、ただじっとして顔を上に向けていれば溺れることはございません。でも溺れまいとして、じたばたすると、逆に口に水が入り、死んでしまいます。もちろん、お金や名誉をたくさん身につけていると沈みます。ただ青い空を見ながら、じっとしているのがいいのです。するとクラゲのように身体がぷかぷか浮いていられます。そしてまた、これは、とても気持ちのいいものでございます。気持ちがよくなると、精神も身体も休まります。しばらくしてそのうち「じゃあ、とりあえずは、腹減ったから、ご飯でも喰うか」という気持ちになります。おなかがいっぱいになると、あとは「自分にできる何かいいこと」を考えたくなります。公園の掃除でも何でもいいでしょう。世の中には、役に立つことは無数にございます。それをやれば、神様も「この人は役に立つことをしている。じゃあ、報酬を上げよう」ということで、安楽に生かしてくださるのではないでしょうか?
もうひとつ。自殺なさる方の特徴は、比較をしているのではないでしょうか?「アイツに負けるのは嫌だ」「昨日の自分はできたのに、今日できないのは、つらい」・・・でも、桜は一週間で散ります。ミミズは蝶にはなれません。昨日は昨日であり、今日は今日です。アイツはアイツであり、自分は自分です。皆が忌み嫌うミミズは、畑を肥やす最も貴重な在であると申せましょう。蝶が美しく、ミミズは醜いというのは、勝手な価値判断でございます。それは絶対的な基準ではないどころか、まるっきり逆の誤謬に満ちた自己判断なのでございます。必要なものは長生きをいたします。ミミズは蝶よりもずっと長生きをしております(普通のミミズは3〜4年生きます。普通の蝶は一週間〜一ヶ月くらいです)。
最後に自殺なさる方の特徴は「他人は、自分をこう思っている」という思い込みがあるように思います。実は人間は他人のことなどには興味ないのです。と申しますか・・・他人は自分が変われば、違った評価をしてくれます。失敗したときの誠実な態度こそが、他人を感服させます。
若い頃、私はテントを背負って、ヒッチハイクをいたしました。すると分かったことは、どこに行っても、みすぼらしい格好の私を助けてくれるいい人は大勢いらしたということです。
その経験から申し上げるのですが・・・昨日ダメでも、明日は、何もない裸の私を受け入れてくれる人はいるのではないでしょうか?・・・いや、何もないからこそ、受け入れてくれるのではないでしょうか?失うのが怖いものなど、本当は失ってもかまわないのではないでしょうか?