ハンマーダルシマー 


【ダルシマーってなに?】

 Dulcimer(ダルシマー)とは、台形の箱に張 られた弦を2本のばちで叩き演奏する打弦楽器で、ピアノの原形と言われています。ルーツはペルシャのサントゥール(百本の弦の意味)で、それがイギリス、 アイルランドなどに伝わってDulcimer(ダルシマー)と呼ばれるようになりました。Dulcimer(ダルシマー)は英語ですが、語源はラテン語で 「美しい音色」という意味だそうです。一般的には、打弦楽器の総称としてDulcimer(ダルシマー)という言葉が使われています。例えば中国の揚琴 (ヤンチン)は、ChineseDulcimer(チャイニーズダルシマー)とも、呼ばれます。ハンガリーにはツィンバロン、ドイツ、スイスにはハックブ レットと呼ばれる打弦楽器があり、この種の楽器はそれほど珍しくありませんが、やはり日本国内でDulcimer(ダルシマー)を知っている人はそう多く ないと思います。hammer dulcimer(ハンマーダルシマー)という呼び名は、おそらくアメリカで付けられたもので、アメリカにあるアパラチアン・ダルシマー、またはマウンテ ン・ダルシマーと呼ばれる、琴に似た別種の楽器と区別するため、「ばちで叩く」という意味を強調して、頭に「Hammer」を付けて呼ぶようになったと思 われます。古くからある楽器なのでルネッサンス音楽などによく使われますが、一番多く使われるのは、アメリカ東部やアパラチア山脈地帯の、アイルランド系 移民の伝統音楽です。アイルランド本国では200年ほど前によく演奏されたという話しを聞きましたが、現在では、あまり使われていないようです。残響が多 すぎる音や細かいメロディーを弾きづらいといった楽器の性質上、速いダンス曲が盛んな現在のアイルランドの伝統音楽には、あまりなじまないのかもしれませ ん。僕がDulcimer(ダルシマー)を知ったのも、アメリカ民謡の演奏家によってです。70年代のフォークリバイバルの時に、若いアイルランド系の伝 統音楽の演奏家によって盛んに使われ始め、一度は忘れ去られようとしていた遠い昔のアイルランドの楽器が、アメリカで復活したのでは、と想像しています。 今では、Dulcimer(ダルシマー)は、その美しい音色から、伝統的な音楽だけでなく、ニューエイジ系やヒーリング系の音楽にまで使われるようになり ました。

ハンマー・ダルシマーは、日本では演奏家、愛好家の少ない楽器ですが、誰にでも簡単に音を出す事が出来て、優しい曲ならば、少しの練習ですぐ弾 けるようになる、とても楽しい楽器です。僕自身も、まったくの独学で演奏を覚えました。アイルランド、イギリス、アメリカなどの民謡や、ルネッサンス音楽 を演奏するのに適した楽器ですが、意外にも日本の曲にもよく合います。多くの人がこの楽器に親しんでくれたらと、思っています。

ダルシ マー教室のお知らせ ハンマーダルシマーの仲間  ■揚琴について ダルシマーの音色 (Greensleeves) ■ダ ルシマーのCD

【僕のダルシマー】


以前使っていたダルシマー
ホンジュラスマホガニー


現在使っているダルシマー
レッドウッド

 どちらもDUSTY STRINGS社のD-500です。はじめは、マホガニー製のものを使っていましたが、友人がレッドウッド製の楽器を所有していて、その音色が気に入った ので、買い替えました。20年近く愛用していますが、最近またマホガニーも良いな、と思っています。

  

 これは、僕が作ったダルシマーです。HARD TO FIND結成当時使っていたものです。サウンドホールは、馬の形にしました。ダルシマーは、お琴に似ているし、馬の頭も書いてあるから、これが本当の馬頭 琴・・・と、思いませんか。

【ハンマーダルシマーとの出会い】

■僕がハンマーダルシマーを弾こうと思ったのは、1986年。当時僕は、ブルーグラスが好きで、よく、アメリカからブルーグラス関係のビデオを手に 入れ、見ていたのですが、その中の1本、「Fire On The Mountain」というテレビ番組に、ハンマーダルシマーの演奏が収録されていました。演奏していたのは、司会者でフォークシンガーのデイビッド・ホル ト。以前から、ハンマーダルシマーはなんとなく知っていましたが、よく見たことがなく、別に深い感心を抱くこともありませんでした。ところが、実に楽しそ うなデイビッド・ホルトの演奏を見て、急にこの楽器に興味が湧きました。しかもそれはとても素朴で、手作りのようで、自分でも作れそうな気がしたので、 さっそく作ってみることにしました。小さな台形の箱を作り、チェンバロのチューニングピンを買ってきて、ピアノ線を10本くらい張ってみました。バチも適 当に作り、叩いてみると、小さな音でしたが、澄んだきれいな音色で響きました。思いがけず上手く出来たので気を良くして、本格的に作ってみようと決心しま した。運良くその頃、楽器製作家の登本貴夫さんに出会い、ダルシマーの製作について教わり、以来試行錯誤を重ね、1年ほどのうちに、5、6台のハンマーダ ルシマーを作りました。■やっとなんとか演奏に耐えられる楽器(上の写真)が出来ると、今度はグループで演奏してみたくなり、結成したのがHARD TO FINDです。■その後しばらくは自作のハンマーダルシマーを使っていましたが、より大きな音と正確なチューニングが必要となり、アメリカ製の楽器を手に 入れました。今では自作のダルシマーを使うことはまったく無くなってしまいましたが、わが家の玄関には、HARD TO FIND結成当時のハンマーダルシマーが飾ってあります。

【ハンマーダルシマーとアイルランドの音楽】

 僕がまずハンマーダルシマーで演奏しようと思ったのは、アイルランドの作曲家トゥアロウ・オ・キャロラン(1670〜1738)の音楽でした。ア メリカの多くのダルシマー奏者が彼の曲を取り上げていたので、僕も自然とキャロランの曲をレパートリーにするようになったのです。美しく情緒的なメロ ディーは覚えやすく、ダルシマーで演奏するのにピッタリです。そのうち、だんだんとアイルランドのダンス曲も好きになりました。アイルランドの曲は、不思 議なメロディーが多くて、幻想的な音色のダルシマーで演奏すると、より一層神秘的な曲に聞こえます。残念ながらアイルランド本国では、ダルシマーはほとん ど使われていませんが、僕はジグやリールのダンス曲をダルシマーで弾くことが大好きです。

 ところで、ダルシマーのことを、チーフティンズのデレク・ベルはティムパン(tiompan)と呼んで言います。ある本で、 「tiompanとは中世の弓奏楽器で、ダルシマーとは全く関係ない。」と書いてありましたが、フランスではtympanon、ウクライナは tsimbali、ハンガリーではcymbalonと書くように、綴りがとても似ています。なにか関係があるんじゃないか、と考えてしまうのですが・・。