成人病の真実 近藤誠著/文藝春秋
コレステロール値は高くていい
高すぎると危ないが、低すぎるのはもっと危険!

管理コメント:この様な事実を目の当たりにすると、専門家とは何か、如何なる存在か?との疑問を持たざるを得ない。
書きたくはないが、日本動脈硬化学会に居る専門家とは”それで飯を食っているだけの人”なのだろう。
コレステロール低減剤が無意味有害であり、薬でコレステロールをコントロールすべきでないと認めると、製薬会社は売り上げを減らし、循環器系の医院も患者が減って打撃を受ける。それだけはどうしても避けたい。ついては医療現場とは離れた学会で基準をでっち上げておけばいいということなのだろう。
本当の専門家は、患者にとってどうするのが良いのかを一番知っていなければならない。さすれば、日本動脈硬化学会で”ガイドライン”なるものをでっち上げた人々は、患者を思う医療の専門家ではない。厳しく表現すれば詐欺の専門家であり、別の見方をすれば製薬会社の宣伝マンか?
永らく”お医者様に”お薬をいただいて200以下にして貰っていた患者が、もし書かれているような病気で死に瀕したなら、詐欺罪あるいは傷害罪で、日本動脈硬化学会幹部や医師、製薬会社を訴えることも可能だろう。それほどずさんで根拠のない医療行為だと思う
日本の医薬品で、いま一番処方されているのはメバロチンです。コレステロール値を下げる「スタチン剤」の一種で、一九九九年の販売額は一八五〇億円! 二位がガスター(抗潰瘍剤)の七五〇億円ですから、そのすごさがわかります。薬価からすると、メバロチンの服用者は年間二六〇万人前後にもなる計算です。

他のスタチン剤も好調で、リポバスが年間六〇〇億円、ローコール一六二億円、セルタ九五億円、バィコール八○億円などと、どれもたくさん処方されています。したがってスタチン剤全体では、毎年四〇〇万人前後が服用しているでしょう。
〔補注セルタとバイコールは、一般名をセリバスタチンといい、別々の会社が販売していました。ところが米国の食品医薬品局が「セリバスタチンの副作用で、米国内で三一人が死亡した」と公表したことを契機として、日本では二〇〇一年八月に両者とも販売中止になりました。〕・・・

しかし結論を先にいえば、スタチン剤はほとんどの場合無意味です。そればかりか高コ血症者の大部分は、スタチン剤を服用すると死亡率が逆に高くなる可能性があり、最近、それを裏づける試験結果が報告されました。・・・

読者がコレステロールにいだいているイメージを想像してみると、コレステロールは万病のもと、・・・なんとかコレステロールを減らさなきゃ、てなところであるはずです。でもコレステロールは、かならずしも悪役ではありません。それどころか身体にとって、必要不可欠な物質なのです。
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ただしコ値が高くなるにつれ、「冠動脈疾患」が増えることも確かです(以下、冠疾患)。冠動脈というのは、心臓の筋肉に酸素や栄養分を送りとどけるための血管で、動脈硬化によって冠動脈の内径が狭くなり、血液が流れにくくなって胸痛が生じるのが「狭心症」、血流が途絶して心筋が壌死におちいったのが「心筋梗塞」です(冠疾患の別名は「虚血性心疾患」)。血中コ値が高いと冠疾患が増えることは、これまでの研究でほぽ証明されています。

この問題の専門学会である「日本動脈硬化学会」は、高コ血症にともなう冠疾患の増加を重くみて、高脂血症診療ガイドラインを発表し、血中コ値が220r/dl以上を高コ血症と定めました(「動脈硬化」二五巻一頁.一九九七年)。そう聞けば、血中コ値のレベルは220未満が好ましい、と誰しもが思います。しかしじつは、低いのも問題なのです。

なぜならば
血中コ値が低いと脳卒中が増えるという種々の調査結果があるからです(例として「Stroke」22巻62頁.1982年)。脳卒中の主なものには、血管がつまって血流が途絶し脳組織が壌死におちいる「脳梗塞」と、脳の血管が破れる「脳出血」があります。血中コ値が低い場合、脳出血が増えるようなので、血管がもろくなることが発症メカニズムでしょう。
第二の問題として血中コ値が低いと、
がんによる死亡も増える傾向があります(「日本公衆衛生雑誌」四一巻三九三頁.一九九四年)。そして第三には、脳卒中とがん以外の疾患も増えるようです。ある調査では、呼吸器疾患や消化管疾患による死亡が、血中コ値が低い人たちに多く、240以上では少なかった(「Circulation」86巻1046頁.1992年)。



コレステロール低値は危険
このようにコレステロール低値の意味は疾患によって異なりますから、冠疾患だけに着目すると誤ります。事故や自殺まで含めた、あらゆる死因による「総死亡」の率をみるのが合理的かつ最善でしょう。

そこで調査報告を探してみると、コレステロールが低値のほうが総死亡率が高くなる傾向がありました(たとえば、前掲「Circulation」)。・・・

福井市における調査(1986〜89年、約37000人、5年間追跡)の結果、男女とも、コレステロール最低値のグループで、総死亡率が最高になっています(右図)。
男性は、血中コ値が高くなるにつれて総死亡率が低下していき、血中コ値が最も高いグループの総死亡率が最低です(「日本医事新報」3831号41頁1997年)。このグラフからは男女とも、血中コ値が220r/dl以上あるからとてスタチン剤を服用する必要性は読みとれません。むしろグラフは、血中コ値を下げると寿命が縮む可能性を示唆します。

ではスタチン剤は何のために処方されるのか。高コ血症の場合、痛い、苦しいなどの症状はないので、目的が症状をとることではありえません。専門家たちは、冠疾患の発症率を下げることが目的だと口をそろえています。が、問題は、スタチン剤で本当に発症率が下がるかどうかです・・・

英国での試験(6000人、男性、5年)で、メバロチンとプラセボ(偽薬)を飲ませてて比較した結果、プラセボ群の発症率が7.9%、メバロチン群で5.5%でした。米国での試験(5000人以上、男女、5年)では、プラセボと、ロバスタチン(日本で未発売)を比較した際の冠疾患発症率は、プラセボ群で約5%、スタチン群で3%でした。これらの試験結果から欧米では、高コ血症にスタチン剤を処方する意味がある、とされています。

しかしこれらは、冠疾患が日本の数倍多い英国や米国における試験結果ですから、日本人ではスタチン剤の効果は僅少になります。ある研究者グループが、これら試験結果を基礎として、曰本人におけるスタチン剤の効率や費用を計算しています。すると血中コ値が240の男性では、心筋梗塞の発症を一人予防するために必要なスタチン剤の代金が、じつに一億三〇〇〇万円になりました。女性では、五億三〇〇〇万円ものスタチン剤が必要です(女性のほうが高額になるのは、冠疾患の頻度が男性の三分の一程度だから。「動脈硬化」26巻157頁・1998年)。
・・・
では総死亡率はどうか。英国試験では、総死亡率が0.9%減りました。〈図表2〉は、英国試験におけるプラセボ群とメバロチン群の総死亡率を「生存率」になおしてグラフ化したものです。・・・このグラフから、スタチン剤を服用する必要性を感じとる方がどれほどおられるでしょうか。

それどころか米国試験では、総死亡数はスタチン群のほうが多かったのです。プラセボ群で死亡したのは77人。これに対し、スタチン群の死亡者数は80人でした。1000人がスタチン剤を五年間服用したときの死亡数を計算すると、プラセボ群は22人。スタチン群は23人ですから、差は1人。これを学問的に表現すれば、「両群の総死亡数に統計的有意差は認められなかった」となります。・・・

ところで、英国試験で総死亡率がわずかに減り、米国試験ではむしろ増えたのは、試験開始前の血中コ値レベルの違いが関係しています。英国試験では被験者の血中コ値が252r/dl以上(平均で272)だったのに対し、米国試験では180〜264(平均で221)と、ずっと低かったのです。つまり、もともと(血中コ値が低くて)冠疾患発症率が低いほど、スタチン剤による(冠疾患以外の)死亡増加効果が(相対的に)大きくなり、総死亡率を押し上げる結果になるようです。日本人の冠疾患発症率は、米国試験の被験者よりずっと低いことを考えると、スタチン剤は無用というより危険です。

それなのにスタチン剤は、どうしてあんなに処方されるのか。第一の原因は、他種の(血中コ値を下げるという)薬剤に比べ、コレステロール低下作用が強力だからです。スタチン剤を飲ませれば、血中コ値がみるみる下がりますから、医者の面目がたち重宝がられます。第二の原因は、患者や医者たちが、血中コ値を下げることは善なりと思いこんでいて、総死亡率増加の危険性に気がついていないのでしょう・・・