カシオペアの乗り方

 上野−札幌間を結ぶ寝台特急「カシオペア」を、新婚旅行で利用したときの顛末を記しておこうと思う。専門的な情報よりも、当事者の感想のほうが有益な場合もあるのである。

 列車の詳細は、JR東日本「カシオペア」のページで。>>http://www.jreast.co.jp/cassiopeia/

1.予約

 カシオペアを使ったツアーが一番簡単で安いわけだが、個人での計画となると、隔日でしかもやや不定期な運行なので、運行予定表でよく確認のこと。運休日もある。
 カシオペアのサイトで、予約状況も見ることが出来る。概して、上野発の便の方が人気がある。カシオペアで北海道に行って飛行機で帰ってくる――だいたい考えることは同じ、ということである。
 もし、予約が取れない、でも旅行日程は変更できない――という状態になったときは、寝台特急「北斗星」を押さえて、キャンセル待ちをしよう。「北斗星」は同じ路線を毎日運行、しかも二便という利便さが光る。さらに安い。

 カシオペアといえばスイート、それも一室しかない「展望スイート」である。記念の旅行ででもあれば、ぜひとも泊まりたい。ところがこれは人気が高い上、旅行会社などが押さえていることが多く、予約困難であるらしい。もし空いていたら、迷うことなく押さえるべきだ。我々も、ほんの一日半ほどの逡巡の間にスイートを逃してしまった。スタンダードなツインとの値段差が12000円程度なら、それほど高くはないのではないか。
 これは鉄道に詳しいという人の話として又聞きしたものだが、十日から一週間前になるとキャンセルが出だすらしい。旅行会社あたりが放出するからだというのだが――あきらめずに待つのもいいだろう。

 禁煙車と喫煙車が分かれているので、それも注意。驚くべきことに、室内ではベッドを出すまで喫煙が可能なのだ。扉に換気スリットがあるので、外の踊り場越しに隣室からの悪臭が届く。そもそも、禁煙車は空気からして違う。空いていれば、絶対に禁煙車に。

2.便利なパック

 カシオペアを使ったツアーでは要求を満たせないという場合、我々が使用したカシオペア+航空券+宿泊付きのパック(JR北海道プラザ東京支店)がある。
 これは、羽田から北海道への片道航空券とホテル一泊分、それに帰りのカシオペア(ないしは北斗星)が付いているものだ。残念ながら逆のコースはない。
 宿泊については、指定のホテルに泊まったあとは最大七泊まで延長できる。航空便やホテルのランクなどオプションによって多少の増減はあるが、カシオペア・ツインでだいたい一人六万円強であった。航空券の見積もりにもよるが、数千円割安。
 なかなかに至れり尽くせりだったのが、利用した函館ハーバービューホテルで絵葉書のセットをもらったことだ。JRからの予約への特典らしい。買うのは億劫だが、もらうとすごく嬉しい。さらに駅弁の引換券が付いている。駅弁は利用先が指定されているが、高いカニ弁当でも良かったので、割とお得(札幌方面宿泊だと"ラーメン共和国”での食事券に変わるのだったと思う)。
 注意が必要なのは、セットものなので変更が利かないこと。スイートのキャンセル待ちや便の変更など、融通が利かないので、予定は慎重に。

 函館ハーバービューホテル――函館駅の目の前で、かつ裏は函館朝市だというで絶好の立地。お勧め。なお、現在は「ロワジールホテル函館」となっている。

 JR北海道プラザ東京支店>>http://w1.alpha-web.ne.jp/~jrhtyo/
 ロワジールホテル函館>>http://www.loisir-hakodate.com/

3.客室(ツイン)

 最先端の展望室スイート、二階建てスイートのメゾネット(ダブルデッキのツイン二部屋分)、一階構造のデラックスおよびコンパートなど、全個室のカシオペアの客室にはバリエーションがあるが、メインとなるのは「ツイン」である。
 我々が泊まったのは二階建てになるツインの二階部分である。二階のほうが眺めが良いと思うのだが、線路に近い一階(窓の高さが、ホームと同じになる)も面白いかもしれない。今気がついたが、二階のほうが揺れが大きいのではないだろうか。

 客室にはトイレと折りたたみ式洗面台が付いている。トイレはバキューム方式(飛行機の“ズボ!”と吸い込むやつ)なので、清潔。洗面台にこっそりコンセントもある。試してみたが、携帯電話の充電可。
 飲料水やお湯、冷蔵庫はないので注意(車内三ヶ所に自販機あり)。ミルク用のお湯は、頼めば厨房からもらえるらしい。
 荷置き場はあまり広くないので、馬鹿でかいケースはできたら持ち込みたくない。室内はそれほど広くない。足元に置く羽目になると、かなり邪魔だ。
 AV設備としては、テレビとBGMがある。ラジオが聞けたかは覚えていない。テレビはNHKのBSが見ることができる。ちょくちょく途切れるのは、仕方がないのだが――ビデオで映画も流してくれるのだが、それをいきなり見てはいけない。我々のときは、当時としてはかなり新しい部類の「スイング・ガールズ」をやってくれていたのだが、これは深夜まで同じプログラムを流しっぱなしなだけなので、あとで見るものがなくなったとき退屈になる。特に、青函トンネルでBSが受信できないときなど……

 寝台は、ソファを組み立てて作る。セッティングは自分でやらねばならないが、特に難しくはない。部屋の形に沿ってL字型に寝るのが、愉快。
 ある程度落ち着いたら、とっととベッドにしちゃってだらけるのもよし。ただし、乗車後にお姉さんが部屋までウェルカム・ドリンクを持ってきてくれるので、それまでは我慢(笑)。

4.シャワー

 乗車したらまずする事、それはシャワーの予約。汗が流せるのは、ありがたいものだ。無論、スイートの方は部屋についているのでそんな必要はない。ふん。
 ダイニングカーに行き、シャワー券310円なりを購入する。プリペイドカード風のシャワー券は、カシオペアのロゴ入りで記念品にもなる。使用済みのパンチ穴が、隅の目立たない位置に入ることから、その意図が読める(笑)。
 シャワー室使用は三十分ひとコマ。利用時間は購入時に決める。シャワーカードを差し込むと、お湯が「六分間」使える。カウンターがついていたと思うのであせる必要はない。さらに、一時停止ボタンを押すと、お湯とともにカウントも止まるので、安心。汗を流す程度と割り切れば、時間は充分。嫁御も、余裕があったと証言する。
 広さは、脱衣所・シャワー室とも電話ボックスを少し大きくした程度だ。注意する点は、終了するためのボタンがあったりするので、カードを挿入する順番を間違ったり、いきなり「終了」したりしないよう説明書きをよく読むこと。
 時間の予約は、食事の前後などに集中するようだった。考えることは皆同じということだ。個人的には、早めの時間を勧める。未使用で乾いた室内に入れるから。函館駅で機関車入れ替えのためしばらく停車するので、その時間を見計らえば揺れずにシャワーできるかも――

5.食事

 カシオペア自慢の食事は、フランス料理と懐石御膳、カシオペアスペシャル弁当の三つ。いずれも予約制。子供は、部屋に持って来てくれるスペシャル弁当の方が喜ぶかも。ワゴンサービスの駅弁は、この際論外としよう。
 我々は、フランス料理のコースを頼んだ。正直云うと、値段相応の内容は期待していなかった。ところがあに図らんや、北海道の食材を使用したという料理はとてもおいしかった。個人的には満足。皿数は少ないが、量は結構ある。ただ、今見たところメニューは入れ替わっていない気がする――
 さて。豪華寝台列車の食堂車でディナーともなれば、乗車記念に写真とか撮りたいな、でもフルコースを饗されていながらミーハーに撮影なんてハジュカチイわ……イイエ、ご心配なく!
 あろうことかご丁寧に、スタッフの女性――このときはね――が、「記念撮影はいかがですか」と一席一席回ってくるのである! 皆、嬉々としてカメラを渡して撮ってもらっていた。きめ細やかな、というよりはビンボウ心を見透かしたようなJRのサービスに脱帽。
 一応断っておくが、皮肉である。
 無論我々は、辞退させていただいた。その程度の見栄は貧乏人にだってあるのだ。そもそも、こういう事態は考慮していなかったので、カメラなど部屋に置いてきた。
 朝食は、食べなかったので知らない。だって高いし、車酔いをして(爆笑)死にそうだったから。

6.その他

 一晩中列車に揺られるのである。乗り物酔いに弱い人は、早めに寝るべきだ。薬も飲んで。俺はそれでひどい目にあった。その日の飛行機で福岡まで帰らねばならないのに、まともに頭も起こせない重態に辟易した。次の乗車機会が訪れても、若干の逡巡を禁じえない。


 数少ない写真。しかも、肝心なところが撮れていない。

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